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※小話・名前だけノーヴァのクノさんお借りしました。
※マスカレードのコラボイラスト後日談?
ボクは今、最高につまらない。
ここのところ、ボクの半身である首なしデュラハン……プレシェンシアの様子がおかしい。
「はぁ~………」
本日17回目のため息。なにか喋ればいいものの、ため息ばっかりで一向に会話が進まない。
こんな調子だとボクも気分が上がらない。
そもそもコイツは、気分が沈んでるからため息を連発している、という訳じゃなかった。それがまたボクとしては気に食わない。
「オマエさ、排出した二酸化炭素から意思を読み取れとかふざけた事抜かそうとしてる?」
「……え? そんなんじゃないよ」
ダメだ。反応が遅いし、曖昧過ぎる。
いつもの様に慌ただしい返答が来るかと思ったら、完全に惚けている。
これじゃボクが一人でボケているみたいだ。
プーがこうなったきっかけは、少し前にアルカナ帝国で開かれたマスカレードパーティーだった。
そのまま仮面舞踏会という催し物だが、頭のないコイツは仮面も付けずに、このパーティーに参加しやがった。
せめて『ストレンジ(人間化)』すればいいものを、衣装がないからって理由で変身しなかった。
これじゃ何のパーティーなのかわからない。
仮面舞踏会で盛り上がる中を子供みたいに歩く、頭のないチビ人形。声を掛ける奴がいたら是非是非その顔を拝ませていただきたいね。
そんな訳でボクは、パーティーの終わりを待ちながら、ダンスの相手も見つからずにしょぼくれて帰って来るプーのナーバスな話をつつき回すのを楽しみにしていた。
ところが、そうはならなかった。
仮面も付けずにふらふら歩いているプーを、こともあろうにダンスに誘うやつが現れたのだ。
おかげでコイツは、そりゃあもう存分に楽しんできましたと言わんばかりに、周囲に花を飛ばして帰ってきやがった。
相当満足だったらしく、聞いてもいないのに興奮気味に一部始終を語り始めるプー。
この時のボクが人間だったら、キレてコイツを地面とお見合いさせていたと思う。
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