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【予感】
「その『首』は君のために生まれた。大切にしたまえ。
君が必要としたから、彼は生まれてきた。彼の存在は君が繋いでるのだ、シーア。
君が彼を必要としなくなった時、彼の存在は消える。
もう一度言おう。
『大切にしたまえ』」
ボクに『もう一つの首』を与えた魔女はそう言って、ボク達の元を去った。
大切な『名前』をボクに託して。
「オマエ、ボクに『自由に生きろ』って言ったな?
あぁ、じゃあそうさせてもらうよ。ボクは今から好き勝手自由に、自分のしたいように生きてやる。
もうオマエの言うことなんか聞かない。
さぁ、『次はどこに行くんだ?』
ボクはボクのしたいように生きる。だからオマエに着いていくんだよ、プー。
オマエ、弱そうだし、ボクがいないと何にもできないだろ?
オマエといる方が面白いからな。ボクはボクのしたいように、オマエに着いていく。
駄目って言っても聞かねえからな!
『自由に生きろ』って言ったからな、これからも好き勝手一緒にやってやるよ」
ボクの『もう一つの首』はそう言って、ボクの隣を歩んでくれる。
ボクの名前を一つだけ、奪って。
「何でもやるお使い屋さん!
お使いレベルのことなら買い出しでも配達でも、場合によってはちょっと頑張って戦うことくらいは……。
……できなかったらごめんだけど、とにかく私に任せておっけー!
マリアフェン・エンゼバートに二言はないっ!
さっ、プー太郎ちゃん?だっけ? タ〇タニック号に乗ったつもりで依頼していいよ!」
それは沈む船だったと思う。
空からやってきた元気な女の子は、ボクのお願いを聞いてくれた。
「……わかった。
……シーア。……………手、繋いでほしい。
………あの時みたいに………」
「んん、わかったわリオ。お姉ちゃんがしっかり繋いであげるからちょっと待っててね、今服を脱ぐわ。今夜は寝かさないwおごぱっ!!!」
魔法使いの姉妹。
元気だといいな(特にお姉ちゃん)
『此処』に辿り着くまで出会ってきた人達。
彼らと邂逅する日が近いことを、今のボクはまだ知らなかった。
Next.
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