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アポロ計画とソユーズ計画によって持ち帰られた月の砂の組成は、後悔されたデータとして地球のすべての科学者が利用可能だった。彼らはそのデータから再現した砂を合成し、電気分解し、熱し、冷やし、あらゆる加工実験を行った。その結果、月の砂を使ったコンクリートやガラス、セラミックスを作り出すことが可能であることを明らかにした。また、酸化物である月の砂を分解すると、酸素を得ることができた。しかし、それらを作り出すためには、水が必要だった。
20世紀終盤のルナ・プロスペクター探査機や、21世紀初頭のチャンドラヤーン1号によって、月の極地方に水が存在している間接的な証拠が得られてきた。そして、2020年、月の北極に初めて着陸した中国の第2次月探検隊が、地下の氷の層を発見し、その存在を確かめた。
もっともその利用のためには、氷を溶かすエネルギーが必要だった。月の開発を可能とするだけの水を生み出すのに十分な氷を解かすには、小型の核分裂炉を持ってくるより仕方なく、2020年代の開発体制では技術的にも法的にも月の水を使用することは出来なかった。そのため、初期の月への輸送物資の多くを水が占め、それは2031年に包括的核実験禁止条約の改正によって、宇宙空間に核分裂技術を持ち込めるようになるまで変わることはなかった。
2028年、測量基準点の設置と電源施設の構築がひと段落すると、かぐや基地の本格的な建設が始まった。柔らかいレゴリスの覆う地盤ではなく、花崗岩の丈夫な地盤の平原を平坦に均し、コンクリートを流し込んで足場を組むと、その上にセラミックの柱を編み込んだコンクリートのブロックを重ねて建造物を建てていく。様々な事故と悲しむべき6人の犠牲者を出しながら、工事は進められた。
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