第3話

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不意に聞こえた第3者の声に、ギュッとつむった目を薄く開ける。 夕立雲が覆う空。 振り上げられた握り拳。 それを掴む誰かの手。 『誰か』を、驚いた表情で見上げる彼女。 「そこ、どいてもらえます?痛そうなので」 彼女を見下ろし、柔らかく微笑む神崎景の姿がそこにあった。 誰もがこの暑さを鬱陶しく思う最中、制服を着崩すことなく、涼しい顔をして佇む彼。 彼の左手は、彼女の手首をしっかりと捕まえていた。
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