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「……まだ帰ってなかったんですか」
「勝手に帰るのもどうかと思って」
「勝手に部屋を物色するのもどうかと思いますけど」
「1本もらったよ」
「もらう前に言って下さい。そういうことは」
「うん。ごめんね」
「……」
冷蔵庫に入っていたはずのミネラルウォーターのペットボトルを手に、ベッド脇の壁に寄りかかり、いつも見る人懐っこい笑顔で私を見下ろす神崎さん。
いつもの彼と違うのは、ゆるいパーマの髪が濡れていることと、昨日のワイシャツを着た胸元がはだけていること。
「用が済んだならお帰り下さい」
「まだ済んでないから帰れないんだ」
「……」
無視する訳にもいかないから会話してあげたっていうのに。
人が寝ている隙に勝手に風呂に入り、勝手に冷蔵庫を漁り。更に何をするつもりなんだろう。この人は。
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