第3話

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「なら、早く済ませて下さい」 ベッド脇の彼に背を向け、 溜め息混じりの言葉で呆れたように言った。 「待ってたんだよ。雛森が起きるの」 ――ギシッ ……と、軽く軋む音。 「気持ちよさそうに寝てるからさ、起こしたら悪いと思って」 かけられた体重に沈み、静かに揺れるベッド。 昨夜私に触れた指が目の前に現れ、閉じた唇をなぞる。 「それに」 耳元で聞こえる、笑いを含んだ甘い声。 「寝てる女を一方的に抱くなんてつまらないでしょ?」 聞き捨てならないセリフとは裏腹の、こめかみに落とされた可愛いキス。
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