異世界

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「ねぇ、この世界にいる意味って何なのかな?」 空を眺めながら呟き涙を流す女性 年齢から二十代後半であろう 容姿は黒髪の美人、スタイルもよくモデル体型だ そんな女性が泣いていてはどんな男性でも近寄らずにはいられないだろう ただ、死体の山のてっぺんで返り血を浴びていなければの話であるが 「ねぇ、もう世界にいる意味って何もないよね」 女性は生きている者はいないなかで再度呟く いや、違うな 生きている者はいないが生きているモノならここにいる 別に返答を直で返さなくとも彼女なら僕の思考に気がついてくれるはずだ 「‥‥そう、そうよね」 僕の意に気づいてくれたのか彼女は涙を拭いて小さく深呼吸する 「私はもうこの世界に未練はないわ。 だから、もうこの世界を消してしまいましょ」 彼女はそう言って目を強く瞑った 代わってほしいという僕への合図である
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