Ⅳ 抱擁

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就寝前、 杏子は確かに自らの一人暮らしをする 『アパート202号室』で床に就いた。 しかし、 睡眠に堕ちたあと 杏子は夢遊病のように立ち上がり、 ふらふらと歩き、 この『実家である高崎家』の 『杏子と柚子の部屋』まで帰ってきていた。 今まで、何度も、何度も。 その夢遊病的行動は 毎日、毎晩繰り返されていた。 そして、 実家のベッドにやってきて再び眠りに堕ちる。 そのとき、 高崎家1階で寝ていた圭子が 帰ってきた杏子の物音で目が覚める。 そのまま杏子を心配に思い、 『杏子と柚子の部屋』へ様子を窺いにやって来ていた音が 足音の正体なのであった。
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