95人が本棚に入れています
本棚に追加
/130ページ
俺たちには「クリスマス」というものがない。
彬さんが日本に戻ってきて最初に感謝したのは、クリスマスに店を開けられることだったらしい。
「日本は家族でミサに出かけるという風習がないからね。レストランも普通に開いているし、一人身の俺にとってその日に店を開けられるのはありがたいね。しかも稼ぎ時や」
そういう視点らしい。
フランスでは、クリスマスに働くなんて!と従業員だけでなく、客にも言われてしまうそうだ。その日に店を開けても誰も来ないよ、とのこと。
その日は家で静かに家族と過ごし、教会へ行ったり、寄付をしたりして、信心するらしいぜ。日本のお正月みたい。
俺は彼の従業員なので、むしろ「てんちょーはなんでクリスマスに店を開けるんだよおおお」という部下の嘆きの方が身近に感じられる。
日本ではその日は恋人にとっては「愛の操を立てる日」だ。
恋人と約束を入れて遊びに行きたいよなぁ!
最初のコメントを投稿しよう!