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「小路谷・・・おい、小路谷!!」
「ふぉあ!!」
突然肩を掴まれたせいで、なんとも間抜けな声が出てしまった。
「私を無視するとはいい根性しているじゃないか。なあ、小路谷。」
振り返ったそこには、黒髪の長髪を風になびかせるレベル三〇超のモンスター。もとい女性が鬼の形相で立っていた。
「しぇ、先生・・・。」
今日初めて声を出したせいか、うまく発声できず声がしどろもどろになってしまった。
「えっと、自分になにか用ですか?」
いくら教師といえども、品行方正、存在感なし、なんの問題も抱えていない俺に話しかけてくるとは珍しいことだ。いや、問題がないわけではないけどな、今やぼっちは立派な社会問題だと思う。たぶん・・・。
「いやなに、少しお前に話があってな。悪いがちょっと私についてきてもらうぞ」
そう言うとこの教師は、俺の返事など何ひとつ聞かずに歩き出してしまった。仕方なく俺もそれについて歩き出す。
ちなみに、有無を言わさずに俺を捕まえ、ツカツカと前を歩くこの教師の名前は、篠目愛花。愛に花と書くなんとも可愛らしい名前の持ち主だが、レベルは軽く三〇を超え、自称絶賛婚活中の愛とは程遠いなんとも哀れな女教師である。余談だが、俺のクラスの担任だったりもする。
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