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それから、優衣には、散々『付き合え』だのなんだの言われ、気が付くと、事も無げに5限目の古典が始まっていた。
付き合えと言われましても………無理がある。どれだけ校内で有名だろうが、私が知らなかったのには変わりはなくて。
大体、何故そんなに有名な彼が取り柄のない私に告白をするのだろうか。最早その時点で、罠じゃないかと思えてくる。
「はああぁっ……」
思わず出る長い溜め息。
「おい、榊。随分と退屈そうだな」
古典の先生がじろりと私を睨む。
「そんな………滅相もございません……」
「榊、36ページの古文訳してみろ」
「ううっ………すいませんっ」
こんなことを考えてるからだ。
罰が当たったんだ。
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