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周りからはまた悲鳴が聞こえる。
「…はっ、離して………」
ドクン ドクン
跳び跳ねる心臓の音が、伝わってしまいそうだ。
「…やだ。凛が逃げたお仕置きだよ」
私以外誰にも聞こえない声で、彼はそっと呟いた。
呼吸をするのを忘れそうになるほど苦しい。顔全体が熱を帯びる。
今日の私、可笑しい。
というか、この人、なんで私の名前知ってるんだろう。
私は、逃げようと必死に抵抗を試みる。だが、逃げようとすればするほど彼が私の手首を握っている力が強くなる。
「…いっ……」
痛い。改めて男と女の差を実感する。
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