始まり。

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「わ…分かりました… 一緒に帰りますからっ!」 私が絞り出した声で、そう言うと彼は、ようやく拘束を解いた。 「…じゃ、帰ろ?」 差し出される手。 まさか、握れとまで言うの? ほぼ初対面の男の人の手を握れとまで言うのか。 「…ほら、早く」 彼の急かすような言葉が、私の反応を楽しんでいるように見えた。 ここで握らなきゃ、この公開処刑のような場所から動けない。 仕方なく、軽く手に触れると、ぎゅうっと握り返してきた。 うっ…叫びたくなる声を必死に我慢する。
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