prologue

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  「そっか、だったら最近見つけた、いい感じのお店があるよ。そこで、いいよね?」 「うん、それでいいよ」  一方的に決められちゃったけど、フラれたショックで思考能力が皆無の私は従うしかなかった。  決めてもらった方が、助かるって話しもあるし。  駅を背にして、歩いて五分くらい。  その道を更に進むと、その先に私たちのシェアハウスがある。  楓の言うお店は、そこにあった。 「カップ オア グラス」  ドアの上に下がってる木製の看板。そこに記された店名を、私は音読してみた。  レンガ風の外壁。  年季の入った木製の扉。  だけど看板は、新しく見えたのが気になる。  だからって、特別どうという事は無い。  でもこの場所が、私にとって特別な場所になる。そしてここにいる人が、私にとって特別な人になる。  この時には、思いもしなかった事だけど。      
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