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『ほんに、人とは面白い。あの人の言うとおりじゃ』
遥か昔を思い出して本の少しだけ寂しそうに笑むと『さて』と跳躍する。楓の葉が一気に舞い上がる。
『これは妾からの前祝いじゃ』
子供達が放り投げた葉が風に掬われて高く舞い上がる。
「「わあぁぁっ!!」」
螺旋を描きながら昇っていった葉は宙で弾けて降り注ぐ。
鑓水に落ちた葉は赤や黄に色を染めて流れていく。
『妾はほんに幸せもんじゃ』
踊るように宙で裾をなびかせると、子供のような笑みを浮かべる。
母親は当然だと言うように強気に笑むと、楓の葉に埋もれる子供達のもとへと駆け寄った。
妾はこの先、幾度となく言うじゃろて。
―――……今年もありがとう、じゃ。
遣り水、流す。
終
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