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慧はリビングのソファにもたれ掛かったまま手に届く位置に置いてある缶ビールを片手に経験値稼ぎのボスキャラをエンドレスに倒していた。
とりあえず咲夜にレベル追い抜かれるのはイヤだからな・・・アイツが居ない間にレベル上げとくか。
慧は見た目は優しそうな感じに見えるが意外と負けず嫌いだ。
レベル上げの為のボスキャラ連戦は単調で飽きてくるから雑誌をすぐ側に置いて時々眺めながらこなしているとあっという間に1時間程経っていた。
「凄いな~レベル120って」
― ん?
「この前見た時はレベル115くらいじゃなかったっけ?早すぎだね」
『緋龍』か。
咲夜のリアフレで同僚でもあるらしい緋龍がいつの間にかログインしていたようだ。
「効率いい上げ方知ってるから」
レベルが高くなると1つレベルを上げるのも大変だから効率よく経験値をゲットできる方法・・・ギルドのメンバーの他にレベルの高いフレが何人かいるからたまに集まって一気にレベルを上げるのだ。
「そうなんだ?俺こういうゲームって今回初めてだからよく解らなくてさ・・・サイファ教えてよ?」
「いいよ?レベル80くらいになったら一緒にやる?」
「ええー80になるまで手伝ってくれないのかっ?」
「言っとくけど楽しようったってそうはいかないよ?俺男には厳しいし」
レベルを早く上げたくてレベルの高い人と一緒にパーティを組みたがる、そんなお気楽な奴は御免だ。
「あ~・・・そっかサイファは紳士だからなあ」
なんだ?
コイツの言い方なんか苛つく・・・気のせいか?
まあでもチャットの入れ方のせいかもしれない・・・気にせず慧は会話を続けた。
「女子なら絶対助けるけど男は多分放っておくから俺と一緒にボス狩りすると何回もちぬよ?
咲夜とまではいかなくてもティアくらいの技術は必要だな」
ちぬ=戦闘不能になると街まで飛ばされるからボスのステージまで戻るのを待つのは面倒だと慧は暗に言いたかったのだが・・・緋龍は全く違う所に食いついてきた。
「ふーんティアはやっぱり特別か~咲夜の言う通りだ」
「咲夜?アイツ何か言ってたの?」
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