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「ティアはサイファの『癒しの女神』なんだってさ」
ブッ
チャットを見て慧は思わず飲みかけのビールを吹き出しそうになる。
俺のいないとこで変な噂流してるのアイツか・・・
「俺告白したのにフラれちゃったんだよね~」
「・・・それはご愁傷サマ」
緋龍ってもしかして馬鹿なのか?知り合って間もないのに告白って・・・そりゃ相手にされないだろ。
ティアは・・・魅羽は用心深いぞ?
心を開いて自分の話をし始めたのは俺と知り合ってから2か月は過ぎていたな。
少しずつ徐々に距離をつめていって、気づいたら側に居た・・・っていう自然な感じじゃないと・・・強引に近づこうとすれば警戒心はますます強くなって完全にガードされる。
そうなれば再び近づくのは難しいだろう。
慧は呆れた顔でチャットする指を滑らせた。
「あんまりティアをからかうのやめた方がいいよ?基本マジメだから本気にするし」
緋龍に告られてどうしたらいいのか真剣に悩んでるだろうな・・・俺に相談しないくらいだから緋龍に気を遣っているのか。
こんなヤツ気なんか遣わなくていいのに?
「そうそう、マジメだよな~そういうトコ全然変わらないよなぁ。
・・・そういえばサイファ知ってる?」
「何?」
「ティアの左腕の後ろ側にホクロあるの」
・・・は?
何・・・言ってんだ。
ゲームのキャラにホクロなんて付いているわけ・・・え?
緋龍から突然出た話に慧はすぐに理解出来なかったがある事に気付く。
さっきの話し方、まるで昔から知ってるような口ぶりじゃなかったか?
「小さいから解りにくいけど腕上げないと見えない脇に近い位置にあるんだよね」
「・・・緋龍オマエまさか?」
「俺、ティアのリアル知ってるよ」
「何処で・・・知ったんだ?」
「このゲームする前から知ってた。咲夜のフレの《ティア》の話を聴いてたからさ・・・
ティアのリアルの友達が《マナ》だと知って確信した。2人共俺の知り合いだって」
「緋龍、リアルの名前は?」
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