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誰なんだ?
魅羽とマナの知り合いだって・・・?
職場の同僚?最近会った同級生?まさか・・・
どれもそれらしく思えるがそうでは無いような気がする。
慧は自分では明確な答えが出せずに緋龍のチャットを待った。
「俺のリアルの名前?俺は・・・」
『俺は・・・』の後、緋龍の沈黙が30秒ほど経過した。
なかなか緋龍の次のチャットが表示されないため、引き伸ばされた感のある慧は苛々していた。
「・・・やっぱ教えない!言ったら面白くないだろ?」
くっ、何か腹立つ。
やっぱり俺はコイツ嫌い。
言わないだろうと予想はしていたが本当に予想通りとは・・・
何となくだが、前から感じていた。
緋龍の俺へのチャットのアタリが強い事を・・・
緋龍って俺の事嫌いなような気がする。
初対面で人に嫌われた事ないんだけどな・・・
人当たりの良さと社交的な性格で常に皆の人気者の慧には衝撃的な出来事だ。
だけど・・・ああそうか。
慧は今までの緋龍の態度に納得した。
ティアが好きなら俺の事嫌いだよな・・・
でもリアルな方の魅羽を知っているなら俺の事ももしかして知ってるんじゃないか?
「緋龍・・・オマエウザすぎ。・・・やっぱレベル上げ1人でやれよ」
「ええ~?」
「インしたと思ったらチャットだけして帰るって・・・アイツら」
『アイツら』というのは咲夜の事も含まれている。
緋龍は結局自分の事は何一つ言わず、『咲夜に呼ばれたから』(ホントか?)と言ってすぐにログアウトした。
夜は長時間インしないくせにレベルが上がっているし、絶対アイツら昼間にレベル上げしてるな?
緋龍に対して腹を立てていたはずだが、いつの間にか咲夜も慧の怒りの対象になっている。
あ~ムカムカしてきた。
慧はこの後、緋龍への怒りをぶつけるように鬼のように深夜遅くまでレベル上げをした。
緋龍の正体はいくら考えても浮かばず、慧はやがて眠気に襲われるとログアウトしないままリビングのソファで眠ってしまった。
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