第13章 混沌

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==================           3 「何サボってんだよ?明日の会議で使う次の掲載予定の資料まだ作ってないんだろ?」 「あー・・・そうだっけ」 「オマエ余裕だなア?新参者はこっちの仕事に慣れるまでは大人しく働けよ?」  エレベーターから出てきた男2人。歩きながら右側の男が左側の男の脇腹を肘で小突いた。  左側の男は怒るわけでもなく真っ直ぐ前を向いたまま右側の男へ目線だけチラッと送る。 「あー、咲って意外と真面目だな・・・つまらん」 「ウルサイっ!オマエがマイペース過ぎるんだろ。 お陰で担当雑誌違うのにオマエがサボる度にオレがオマエの行先聴かれるし・・・ 仕事の携帯持ち歩けっての」 「そんなん持っとったら休憩できんわ」 「仕事終わってないのに休憩するな!」  ・・・ったく俺はアイツの御目付け役かっつーの!  吉長咲(よしながさき)はデスクに戻って仕事を再開した男を苦々しく眺めながら思った。  咲は周友社で情報誌担当の記者をしている。  俺が休憩の後仕事してたら編集長自らやってきて『田宮君知らない?』だもんな。  まあアイツ仕事できるし少々サボったところで支障ねーし。  作る側より載る側の方がいいんじゃないかって位イケメンだし。  アイツが来てからというもののウチの女性社員の女子力は格段にアップしたな。  アイツを東京に移動させた編集長・・・もしかしてそれが狙いだったりして(笑)  しかしさっき俺がアイツを屋上で見つけた時、珍しく笑ってたな?  携帯持って誰かとメールしていたんだろうか・・・?  まだ1か月ちょっとしか経ってないからプライベートな事は知らないし俺も突っ込んで聞く事はない。  たまたま休憩室でゲームをしていた俺に話しかけてきたアイツを誘ったら、何故か「やる」と言い出し、まさか誘いに乗るとは思わなかった俺は驚いた。   ゲームなんてリア充じゃない人間が暇つぶしでするもんだ。  あの外見だし女が放っておくワケない。  彼女がいても埋められない心の隙間でもあるんだろうか?
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