第13章 混沌

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     確かに《ティア》のようなタイプの女子は周りにいないし新鮮だった。  でもこれは現実じゃない。  いや実際(ティア)は存在しているわけだが、俺の勝手な想像の《ティア》そのものが本人なワケないのだ。  理想を膨らませてはいけない・・・そうこれはゲームだ。  ゲームのフレに恋愛なんて俺の中ではあり得ない禁止事項なんだ。  そう俺は考えていたからフレに徹して真面目にゲームに集中していた。(真面目にゲームってなんかヘンだけどね)  だけど最近、《ティア》は俺と共通のフレとリアルに知り合いでしかもつき合い始めたと知って・・・俺は驚愕した。  なんだよ・・・これってアリなのか?  俺が常識にとらわれている間にアイツらリアルで恋愛モードになっていたのか?  しかもアイツ、《サイファ》はつき合っていた彼女を振ってまで《ティア》とつき合いたかったのか・・・  そう考えると《ティア》はさぞ美人で魅力的な女なんだろうな・・・羨ましい。  女が途切れない男ってムカつくけど俺は《サイファ》の事は結構気に入っている。  頭もいいし話すとサッパリしていて周りにも気が利くいいヤツだ。  俺より先に2人は既にフレになっていて俺には入り込めない特別な空気が漂っている気がして、周りのフレもそう感じていたのか2人がパーティーを組んでいる時にはすぐに声をかけなかった。  《ティア》は《サイファ》が大事にしてるフレで他のフレとの扱いが違う事は俺もわかる。  だからしょうがない。  俺は黙って2人を祝福してやるよ?  俺の気持ちなんて半分は勝手な想像だけの淡いモノだし《サイファ》とは比べものにならないくらい小さなモノだから。  あ~それにしても《ティア》と《サイファ》に会ってみたいな・・・俺、実物に会っても仲良くなれる自信あるわ。  そういえば《サイファ》に「2人がつき合い始めた事まだ誰にも言うな」って言われたけど、いいのか・・・?  アイツ、《ティア》の事相当気に入っているみたいだし俺の知らないところで口説いてたし、言った方がいいと思うんだけどな?  まだアイツの性格はよく解らないが、翔って爽やかなくせにちょっと面倒くさいというか屈折したとこあるし・・・
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