5人が本棚に入れています
本棚に追加
声のトーンに気をつけていつも通りに話さなきゃ・・・
「お兄ちゃんは?」
「まだ会社かな?連絡来ないし・・・先に家行ってって言われて鍵貰ったんだけど、来た時魅羽居なかったから部屋上がらせてもらったよ?」
そっか・・・お兄ちゃん残業なんだ?
魅羽が抱きしめられている幸福感に浸っていると、慧は魅羽の身体を反転させて魅羽の瞳を真っ直ぐに見つめ、嬉しそうに微笑んだ。
「あ・・・」
駄目だ・・・
大野さんの顔、まともに見れないっ!!
相変わらず爽やかな笑顔の慧に間近で見つめられて魅羽の鼓動はどんどん加速していく。
「もうお風呂入った?」
「・・・うん」
「いい匂いするね」
「そう・・・かな?」
慧が魅羽のしっとりとした頬を親指でそっと撫でると、魅羽はピクッと僅かに肩を揺らす。
あ・・・大野さんの指が・・・
頬触られているだけなのに私・・・
顔、絶対火照ってあかくなってるよ?
「魅羽?」
額がくっつきそうなくらい顔を寄せて覗き込むように魅羽の瞳を見つめた慧はゆっくりと魅羽の反応を楽しむかのように頬から右の耳たぶへと親指をなぞっていく。
「・・・ん」
やだ・・・声出ちゃったっ
だって大野さんの触り方、優しすぎてなんかやらしいんだもん。
思わず声を漏らして恥ずかしそうに困った顔で慧を見つめ返す魅羽を、慧は嬉しそうに見た。
「・・・っていうか~いつになったらキスするんだ?」
日曜日に会って以来、数日会っていないだけで魅羽不足になっていた俺は、内心思いっきり強く抱きしめたかったけど魅羽の姿を見た途端・・・気が変わった。
魅羽を驚かせようと後ろから抱きしめた時の魅羽の反応が可愛くて、俺はもっとその反応が見たくなった。
風呂あがりでまだシャンプーの匂いが強く残っていて、その匂いに誘われるように俺が魅羽の首元に顔を埋めると、魅羽の身体が僅かに揺れる。
くすぐったいのか?それとも・・・
その疑問を確かめたくて俺は優しくゆっくり魅羽に触れる。
すると魅羽は困った表情で弱く俺を睨むように見るんだ。
その表情が可愛くて俺は焦らしたくなる。
最初のコメントを投稿しよう!