第13章 混沌

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   確かに《サイファ》とはオンラインゲームで半年以上の付き合いになる。  「俺、今までけっこう《ティア》のプライベートな話聞いてるから~壁作ってもムダだよ?」  そう言った慧の悪戯っぽく笑う仕草に魅羽は思わず身構える。  「壁?」  「うん。『遠慮』って壁」  「ティアが大学の時にサークルで行った旅行で迷子になったとか、歓迎会でうっかり社長の焼酎飲んで記憶無くしたとか・・・」  - ええ~っ?  私っ、そんな事言った?  「しかもそのまま社長の家に泊まったとか言ってたな・・・よく無事だったね?」  「ウチの社長はいい人だからヘンな事はしないの!それに他の社員も居たし」  「『いい人』ってのが一番危ないんだよ?『油断させていつかは食べてやる』的な? ・・・ちなみに俺も『いい人』だけどw」  「・・・・・・」  それって大野さんも『危ない』って事?・・・でももう食べられちゃったんですけど?  そんな話したなんて私、すっかり忘れてたのに・・・よく覚えてるなあ。  そういえばサイファって1回行った場所でも道順覚えててスイスイ行くし、記憶力いいんだ・・・羨ましい。  「飲むと記憶なくなるのしょっちゅう?」  「ええ?そんなしょっちゅうじゃないよ?」  「この間俺の酒間違えて飲んだとき記憶なくしてたみたいだけど?」  マナ達と飲んだ後、慧のマンションに泊まった時の話だ。  あの時はサイファだから油断したというか・・・  「あれは・・・!」  まさかお酒とは思わなかったし!  「普段は遠慮がちなのに酔うとワガママになって可愛かった」  「・・・!」  『ワガママ』って・・・私酔うとそんなに変わるの?  「あれ俺の前だけにして?」  「え・・・」  「他の人に見せるの嫌だから」  見つめる眼差しは優しいが、真剣な表情で慧は真っ直ぐに魅羽の目を見ていた。  それって・・・  ヤキモチ妬いてくれてる?  そんな事言われたら・・・嬉しすぎる。
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