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まさか大野さんがヤキモチ焼くなんて思ってもみなかった・・・
ああ~っ!・・・だ、ダメだ・・・思い出すだけで顔がニヤけちゃうっ!
慧が帰った後、魅羽は楽しかった余韻に浸りながら、いつもは簡単に済ませているはずの肌のお手入れを今日は手のひらでしっかり浸透させるように両頬を押さえている。
ただ単に『入念にスキンケアをする』というよりは魅羽が考える時の癖なだけなのだが・・・
いつも淡々としていて話をするときも落ち着いているし、私の方が絶対緊張してるし挙動不審だと思ってたけど・・・
私・・・ホントに大野さんの彼女なんだ。
あんまり実感湧かなかったけど、あんな風に言われると『想われてる』って感じがするなあ。
魅羽はスクッと立ち上がると、部屋の電気を消してベッドに勢いよく寝転がった。
なんか・・・今日はいい夢見れそう。
フワフワとした幸福感に包まれながら目を閉じると、魅羽はすぐに深い眠りに入っていった。
金曜日―――
今日は魅羽がマナと約束した日。
現在の時刻は15時20分。
会社の休憩室で魅羽は1人、自動販売機で買ったカフェラッテを片手に窓辺の席に座る。
午後の休憩は皆バラバラでとるから休憩室にいる人も疎らだ。
・・・うーん、何か大事な事忘れてない?私?
朝ふとそう考え始めてから今日は一日中、魅羽の頭の中はモヤモヤしっぱなしだった。
「は~なんだっけ・・・」
休憩室から見える外の景色を晴天の空とは裏腹に、魅羽はついつい難しい顔で睨むように眺めてしまう。
「何か悩み事?」
え・・・私声に出してた?
魅羽が驚いて声の主の方を振り返る。
そこにはあり得ない人物が立っていて魅羽の瞳はいっそう大きく開かれた。
「何で・・・またいるのっ?」
「ん?仕事だけど?」
そう言った田宮翔はポケットの中から何かを取り出しながら魅羽の席の隣に座ると、テーブルに置いてある魅羽のカフェラッテの隣にそっと置いた。
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