5人が本棚に入れています
本棚に追加
第13章 混沌
======================
1
「それでね、金曜日はマナと飲みに行こうって言ってるんだけど・・・」
「うん、いいよ。楽しんできて?」
「・・・いいの?」
「うん?・・・あ~魅羽は金曜日も俺と会いたい?」
「えっ?そ、そんなこと・・・」
「いいよ?俺は土日会えるし?あんまり魅羽を独占しすぎるとマナに怒られそうだしね」
携帯電話の向こうで慧の笑い声が聴こえる。
実際耳元で囁かれる甘い声もくすぐったいけど、電話を通して聴こえる声もすごくセクシーで魅羽はドキドキとする。
大野さんはいつもの口調で淡々とした感じなのに・・・
私だけかな?いつまでもドキドキしてるの。
大野さんが余裕に見える(感じる)のは気のせいかな?それともやっぱり恋愛経験の違いからくる私の焦り?
もちろん私はマナとたくさん話したいし遊びたい。
けれど大野さんに早く会いたい・・・
こうして電話で話していても早く会いたくて・・・ああ~っ!何で私免許持ってないんだろ?
大野さんの声を聴くと会いたくなって困る・・・
最近お兄ちゃんと家じゃなくて外で飲みに行ったりしてるからバッタリ会えないし、今週は家に来ないのかな?
でも『家に遊びに来て』なんて・・・恥ずかしくて言えないし。
魅羽は思っている事を相手に伝える事が苦手でいつも考えすぎてしまう。
・・・というか、殆ど毎日こうやって電話で話してたら、話題も特に無いし仕事の話くらいしか話していないし・・・
面白くないって思われてるかな?
あ・・・話題といえば田宮くんの事、話した方がいいよね?
・・・でも電話で言うより直接言った方がいい・・・よね?
でもわざわざ話す事でも無いのかな?
連絡先も知らないはずだから私と田宮くんの接点は無いし。
私の職場知られたけど、あれから職場には来ていないし・・・
今までモヤモヤしていた事をお互い言ってスッキリしたから、もう諦めてくれたんだろうか?
私はハッキリ断ったんだから、解ってくれたよね・・・?
最初のコメントを投稿しよう!