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茉莉花「私ね、先生との思い出、全然思い出せないの。先生のお見舞いに行って、意識はないのに手は暖かったことしか思い出せないの。10年もお世話になったのに。先生の顔も、声も、思い出せない。辛くて、知らず知らずのうちに記憶を消しちゃったみたい。なのに、ピアノを見るとベットに寝てる先生ばかり頭に浮かんじゃって……」
桜、茉莉花の手を握る
茉莉花「!」
龍「今、桜さんが茉莉花さんの手を握ってます。」
茉莉花「……姿は見えなくても、触れてるのは分かるんだね。」
桜「無理に思い出さなくてもいいよ。私のことは忘れてもいい。でも、ピアノが大好きだったあの頃の思いだけは忘れないで。」
龍「桜さんが無理に思い出さなくてもいい。自分のことは忘れても良いけど、ピアノが大好きだったあの頃の思いは忘れないでと言ってます。」
茉莉花「…先生、私、またピアノ始めるよ。今までは先生のことを言い訳にして逃げてたけど、本当は今でもピアノが大好きだから。まだ、先生以外の人に教えてもらう気にはなれないけど、いつかピアノ習って、先生みたいにピアノ教室の先生になる。」
桜「うん。茉莉花ちゃんならきっと…ううん。絶対なれるよ!」
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