38人が本棚に入れています
本棚に追加
*****
「知紗、ベッドにチョコこぼすなよ?」
シーツをぐるぐる身体に巻き付けたわたしを後ろからぎゅっと抱きしめながらリョーマが耳元で言った。
「はーい。」
と返事しながらわたしは残りのトリュフを頬張る。
「ねー。」
「ん?」
さっきから気になっていたことを聞いてみる。
「リョーマって、ホントにチョコで酔うの?
そんなの聞いたことないけど。」
するとリョーマはわたしが持つ箱の中のトリュフを二粒掴み、わたしの口に押し込んだ。
「ひょっほ、はひふんほよ!」
(ちょっと、何すんのよ!)
と後ろを見上げると、ニヤリと笑って彼は言ったのだ。
「もう一回、試してみるか?」
目を見開くわたしの唇は、
再び意地悪な幼なじみに塞がれた。
そして。
苦くて、甘い、
チョコと一緒に。
おいしく、おいしく。
食べられましまたとさ。
*完*
最初のコメントを投稿しよう!