うつせみ【BL】

13/36
前へ
/38ページ
次へ
「はる、と……っ」 「陸…俺が何ともないとでも思ってたの?俺だって胸が潰れそうだよ。いつもドキドキしてるよ。お前だけじゃねえよ」 「そう、か……じゃあ尚更だな」 「え?何がだよ」 「…こんなんは心臓に悪い!寿命が半分くらいになっちまう。そしてこんな気持ちになるのは1年に1回しか会えないからだ。だから…お前、高校出たら東京来いよ。そしたら毎日でも会えるだろ。寿命も延びて、長生きできる!」 「……長生き、か」 遥斗は、どこか遠くを見つめているようだった。 「…そうだな。そうしようかな。毎日会えるなんて夢みてえだ……」 「だろ?てか遥斗もこっちに遊びに来いよ。もう高2なんだし来れるだろ。お前が来てくれたことねえじゃん」 「行きてえよ、陸の家!…でも部活で休みがねえんだよなあ…唯一休みの今は陸が来てくれるし……」 小学生の時からバスケをしている遥斗は、毎日練習に明け暮れていた。だから、遥斗が東京に来たことは、まだ一度もない。 「…そうか。じゃあやっぱ、2年後だな。いつでも来いよ、案内するぜ」 「うん……ごめん、ありがとな」 「うん。じゃあ俺、寝るわ」 俺は立ち上がると、自分の布団が敷かれている1階に向かって歩き始めた。 「行くなっっ……!!」
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加