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「も……ダメ………」
「…陸……結構やるじゃん……」
「だろ……」
どれくらい走っただろう。逃げては捕まり、追いかけては捕まえるの繰り返しをもう何回しただろう。ついに俺達は力尽きて、木陰に倒れこんだ。
「でも涼しいなここは……東京でこんなことやったら100パー救急車だ」
「げ、そんなに暑いのかよあっち……」
「まあな。でもすぐ慣れるよ……なんか、戻ったみたいだな」
「何が?」
「時間がだ……昔の、俺達がまだ『いとこ』だった頃……脇目も振らず遊びまくってた頃に………」
「…そうだな。あの頃の陸はホントに可愛かったよなあ……大きくなったね、陸。イケメンになって」
「遥斗、イケメンは死語」
「じゃないから大丈夫」
俺達は盛大に吹き出した。
「はは、サイコーだ!!」
「おもしれえよな、ばあちゃん………あ、セミの抜け殻だ」
ふと上を見上げると、木の幹にセミの抜け殻がくっついていた。俺は起き上がって、それを手に取る。
「おお、ほんとだ。懐かしいなー!昔2人でよく取りに行ったよな」
「うん……遥斗、お前いつから俺のこと、その…好きなんだよ」
「いつ、から……?」
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