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「そ、そうだよ!いつからだ!」
「…物心ついた時からずっと好きだったよ。陸が愛しくて仕方無かった。多分、生まれた時から好きだった……」
「……これからもか」
「え?」
「これからも、俺を愛してくれるのか。これからどんどん大人になってって現実にぶち当たってもーーー…周りが結婚してガキが出来てっても、男でいとこの俺を愛せるのか?」
「陸…」
「そうだよ!俺達は男同士だ!!いとこってだけならまだ可能性はあっても男同士なんだぜ……?誰にも、国にすら認めて貰えないのに……愛せるのかよ………」
知らないうちに、涙が溢れ出していた。今まで感じていた、どうしようもない思い。
「陸…ごめん………」
そう呟くと、遥斗は俺の涙を舐め取った。
「…しょっぱい」
「てっ……めえマジどういうつもりだ……っ!!」
「…陸、『うつせみ』って言葉知ってる?」
「は…?知らねえよ。どっかのセミかよ」
「うん…そう、セミって意味もあるんだけどさ、この世に生きてる人、って意味だ」
「生きてる、人………?…ってかそれが何だよ!俺の話を聞けよ………おい、遥斗…?」
俺の声は、遥斗には届いていないようだった。遥斗は、完全に遠過ぎる程遠くを見つめている。
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