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「所詮、俺達もうつせみなんだ……セミと一緒だ」
「は…?」
「ずっと…ずっと夢を見て…憧れて…これが現実になればいいと思い続けて…地下で、ひとりで、ずっと……
でも、いざ地上に出てみたら現実はそんなに甘ったるい訳無くて、夢なんて叶う訳もなくて……こんなに求めて泣き叫んでも誰も助けてくれなくて、結局すぐくたばっちまうんだ…セミと一緒だ……」
「遥斗…」
遥斗は、俺に背を向けた。その時、俺は遥斗の背中がとても大きくなっていたことに気付いた。
「俺も、ずっと夢を見てた。陸を愛してるから、陸とずっと一緒にいたいって。一生…じいさんになって死ぬまで、ずっと一緒にいれるような気がしてた…
でも、もうそろそろ地上に出なきゃな…現実を見なきゃな、もう17なんだから……陸、お前の言う通りだ。俺達はいとこで、何より男同士だもんな。誰が味方してくれるって言うんだよ、こんなの…!
…もう、何もしねえよ。お前には何もしないから……安心して、彼女作って結婚して……ガキ作って………」
「遥斗」
遥斗の背中は、震えている。泣いているのか……?
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