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「……畜生っっ………!!!!なんで…なんでこの世ってのはこんなに残酷なんだよ……!!なんで男が男を好きになっちゃ駄目なんだよ…!?俺はただ陸が好きなだけだ……!ただ、人が人を愛しちまっただけじゃねえかよ……!!そこに…男だとか女だとか家族だとか他人だとか…そんな事関係ねえじゃねえかよ……っ!!!」
遥斗は、泣いていた。こいつも、…いや、こいつの方が何倍も悩み、苦しんでいたのだ。夢と現実の間の、いちばん辛い場所で。
俺はただ遥斗をこっちに向かせて、ただ遥斗の涙を舐め取った。
「…お前だってしょっぱいじゃねえか」
「り、く……」
「本当に、そう思うか…?」
「え…?」
「本当に、こいつら…セミが、そんなに不幸に思えるか。俺には、むしろ幸せなように思えるぜ。ずっと夢を見て、地上に出たら余計な目に遭う前に子孫残してとっとと逝けんだぜ?どんだけ幸せなんだと思ったけどな」
「…」
「…いいよ、もう。悩まなくても……俺を諦めたりしなくても、いい。てか諦めてんじゃねえよ。お前は、俺を一生愛せ。そしたら俺も一生愛してやるよ。俺が好きなら、そんぐらい簡単なことだろ?」
「陸……!」
遥斗は、俺に思いっ切り抱き着いた。すかさず俺も抱き締め返す。
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