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「明日、陸を俺にくれませんか」
あれから先祖の墓参りやら買い物やらを済ませ、親族一同揃っての夕飯の時にそいつは言った。
「…は!?ちょっとお前っ……」
「陸は明日の夜行で帰っちゃうんですよね。どうしても2人で行きたい所があるんです」
「うん、全然いーわよー?ちゃんと時間までにバス乗り場に来れるなら」
俺達の秘密の関係を知る由もない母さんは二つ返事で了承する。
「ありがとうございます!…じゃ、陸、明日、よろしくね」
「おい、勝手に決めんなよっ…てかどこ行くんだよ」
「…雑誌があるから見せてあげるね……寝る前に俺の部屋においで」
「!!」
また、胸がズキズキと痛み出す。みるみる自分の顔が赤くなっていくのが分かる。みんなに怪しまれてはいけない。必死に俯きながら飯をかきこむ俺を横目に、そいつは颯爽と階段を上っていった。
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