バスの中から

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涙で霞んで見える海岸線は 穏やかな波しぶきをあげながら、 寄せては引いていくことを 繰り返していたが、 静かな波の動きとは反対に 頭の中では、 あの頃の記憶が津波のように 黒くよみがえってはすうっと遠ざかっては 白く崩れ去っていく。 加奈子は軽い目眩を感じ、 窓から目をそらしてしまった。
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