番外編・3 No Side

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優さんも部屋を出て行き、入院手続きの書類を書いていた 美央子が、呼ばれて傍に立つ。 手を伸ばし、まだほっそりとしている腰を攫い、 膝に座らせた。 こうしてまた、美央子を抱きしめることができて 良かった。あいつは全てを失ったが、俺にはこの世で 一番愛しい女と、これから産まれてくる我が子という 貴重な存在が残っている。 これが勝利と言わずに何と言う? けれど、真の勝者は美央子かもしれない。 何しろ彼女の何気ない行動が、俺を死神から 守ってくれたのだから。 「なんでニヤニヤ笑ってるの?」 腕の中の美央子が微笑みながら、首を傾げる。 「幸せだからだよ」 そう、これ以上の幸せなんて無い。 美央子の平らなお腹に手を当て、話しかける。 「おい、パパを怖がったりするんじゃないぞ」 「ふふ。なるほど、今から言い聞かせる作戦ね」 そう言って、朗らかに笑う美央子。 その最愛の妻を引き寄せ、しっかりと抱きしめる。 彼女が腕の中にいる幸せを、かみしめる。 そう、俺はどんな勝負にも、負けるわけなど無い。 どんなことがあっても、変わらぬ愛で包み込んでくれる。 女神が傍にいるのだから。 END
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