─誤算─ Act48(後半).

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期待などしていなかった、想像さえしていなかったから。 昨晩のような質問が飛び出すほど、不安にさせていたから。 それなのに、わざわざ手作りの菓子なんて用意して… これほど純粋な子に、今さら言えるはずがない。 最初はただの遊びだったなんて。 アイツが苦しんでくれさえすれば良かっただなんて。 言えるわけがない。 用がすんだら切り捨てるつもりだったから、兄妹と明かさなかった。 それを… 今さら気が変わっただなんて、言えるものか。 こんなことしかできない。 仕方がないじゃないか。 仕方がない… 泣きたいのはオレの方だ。 そんな言葉を飲み込んで、美緒が落ち着くまで、そのままの姿勢でいた。
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