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ドアにたどり着くまでの数十秒の間に、様々なことが頭をよぎった。
花なんて、と失望されたら。
生花なんてその場限りで、飯のように時間をともにするわけでもない。
いや、だが、美緒はそんな態度を取るような子じゃない…
でも、もっと何か気の利いた選択肢があったんじゃないか。
土壇場まで潔くはいかない自分に、焦燥が募った。
気のせいか汗ばんだ手でドアを開ける。
ホテルマンは深々と頭を下げ、送り主の名を口にした。
かろうじて礼は言ったものの、まともに応対できた気がしない。
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