魔王からの贈り物

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魔王からの贈り物

昔、昔の話。 絶大な魔力と恐怖によって世界を支配していた、一人の魔王がいました。 魔王は世にも恐ろしい魔法の数々を用いて町を襲い、空を汚し、人を豚に変え、逆らう者たちを次々と焼き、それはそれは悪逆の限りを尽くしました。 人々は魔王の影に怯え、しかし逆らう術はなく、陰惨な日々を強いられていました。 魔王は、かつて存在した小国の王様でした。 それがある日、国の人々を皆殺しにし、自らを魔王と称して世界征服に乗り出したのです。 心穏やかで民にも慕われ、名君と名高かった王様。そんな彼が何故このような暴挙に出たのか。 乱心だとか、元々穏やかに見えた性格こそが偽りだったとか、様々な説が存在します。 ですがそれはあくまで一説。本当の理由を知る人は誰もいませんでした。 誰も、いませんでした。
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