第1章・松本拓也視点

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打ち合わせを終え席を立ちながらアシスタントに『後で』と手をあげ車に向かう。 学校の隣にある公園へと車を走らせ、路肩に駐車しまわりに注意を向けた。 S高は校則は甘いのかしら? 派手めな色合いはないにしても、みんなリボンやシュシュで我を主張している。 美和はどうして飾りっ気がないのかしらね。 色気のない色ゴムで無造作に2つ分けにしちゃって、もったいない。 ポニーテール… ポニーテールにしたらかわいいと思うのに。 腕を組みながら2人の世界に入るカップルが多すぎる。ウエストに手をまわしながら堂々とキスしないでよ。 そこのカップル、美和の方がかわいい顔だと思うけど? 美和ちゃん遅いわね… また掃除頼まれてやってるの? 『お昼に迎えにいくわ』って昨日伝えたけど、時間は指定してなかったものね。 公園にいる、とメールを送信っと。 すぐには返事来ないみたい、やっぱりまた掃除しちゃってる? 下校中の生徒の中に掃除を押しつけた奴がいるのかもしれない。 カップルが多いけど、同性の集団も同じくらいいて騒がしいくらい今後の予定を言いながら楽しそうに帰ってる。 美和はデートする彼氏は居ないのかしら? 美和だってみんなと同じように同じ時間に下校して良いはず。 リボンをしたポニーテールの髪を揺らしながら、彼氏と手をつないで帰って良いはずだわ。 下校する生徒が次第に少なくなり、そのうち校門から生徒は出てくる事はなく心配し始めた頃に美和ちゃんが見えた。 ここからでも分かるくらい呆れるくらいで苦笑しちゃう。 リボン曲がってるし上着がずれてるわ。 髪もボサボサで乱れてる。走らなくて良いのに… 服装くらいチェックして歩いてきなさい。 遅れたから? 待たせてるから? だから走ってる。 美和ちゃんらしいけどね。 カバンからブラシを出し車のドアを開けた。 ハァハァとあらい息をし咳き込み、立ち止まりあたしを見て頭を下げる美和。 さっきより上着ずれちゃってるわよ。 ゆっくり歩いて美和の側に行き、また苦笑する。 また頼まれ掃除だったみたいね。 まったくこの娘(こ)って… まったくこの娘(こ)って… やるせない沸き上がる感情から美和の前髪をくしゃくしゃにした。 嫌な6年間の自分自身と重なりチクンッと心が痛い。 あなたは人並みに放課後を楽しみおしゃれをして良いはずだわ。
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