第1章・松本拓也視点

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メアドメモを渡した週末に美和からやっとメアドが送られ登録する、吉井美和と。 お節介からメアドを教え何となく…の気持ちだったわね。 けどこのメアドが大切になろうとはこの時は思いもしなかった。 そう、ただのメアド。 あたしのも… 美和のも… 『やっと送ってくれたわね、明日うどんの会を開くそうだから来なさいね』 新しく入った住人の菊地さんからの申し出なのよ、 うどんの会って菊地さんが提案者なんだけど美和は参加してくれるかしら? 先週の猫ちゃんが菊地さん宅にお邪魔した時にうどんをご馳走になったけど、 美和だけがかたくなに断って帰ったわね。 本っ当に損してるとしか思えない。 猫ちゃんの方が素直だわ。猫ちゃんのようにキッチンのドアに前足を付け体を長~くして鍋の匂いを嗅げ、とは言わないけど。 素直にご馳走になる事も人づきあいには大切な事よ。 来るかしら? 次の日美和は菊地宅の前で佐々木さんと挨拶してた。あたしとはえらい違いでやけにフレンドリーじゃない。 『おばちゃん』 とか言っちゃってさ。 あっ、別に妬いてるわけじゃないのよ。 かなくなな美和が気さくに喋ってるからムカついただけ。 もっとも美和に関心なんてないけど。 部屋に入るとすでに猫ちゃんがいて(笑)、美和も猫ちゃんみたいにフレンドリーであるべきだわ。 『恥ずかしすぎます』 とか言っちゃって、かなくな過ぎるのよ。 猫はかつお節の匂いを嗅いで関心を示すのは本能的なんだから、もうちょっと心に柔軟性を持つべきだわ。 関心を向かせようと…うなだれる美和の肩を叩いて、今度は落ち着かせるようにポンポンと叩いた。 『菊地さんの弾けぶり見てみなさいよ(笑)』 サラサラヘアの髪に白いタオルをねじって結んで、藍色の仕立ての良い服…えっ菊地亭って襟に書いてある(笑)。 その下には白いティーシャツ、下は膝丈の… 『お待ちぃっ!』 思考を破るかのような菊地さんの声にハッとする。 普段朝に出勤が一緒になる事もあって、穏やかな物腰の喋り方をする菊地さんを知ってるだけに。 ビックリしたわ~、すごい弾けよう(笑)。 美和もここまで弾けなさいとは言わないけど、 見習ってほしいもんだわ。 とりあえず、うどんの会に来てくれてありがとうかしらね。 ↑ 【うどんの会での菊地さんの弾けぶり、また会に来たみんなの様子を書いています。 松本さんってばいろんな事思っていたんだね】
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