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「……須藤今なんか、すっげぇ上から目線のこと考えてるだろ。
なんか超ムカつく顔してるよ。」
「えっ!? い、いいえぇっ!?
えっ、顔!? 気のせいだって!!!!」
慌てておどけてみせる。
狐狗狸はギロッと俺を睨み、しなやかな手付きで俺の尻ポケットから財布をスった。
手馴れている。
面と向かって堂々とやられたので俺はスられたことを認識できたが、もし人混みでやられたら全く気付かないだろう。
いや、そうじゃないぞ。
そんなこと今はどうでもいい。
狐狗狸を怒らせると、やばいぞ!?
「ちょ、狐狗狸さん!?
どこに向かってらっしゃるの!?」
狐狗狸は俺からスった財布を片手に、高級チョコレート専門店にわき目もふらず向かっている。
「喉乾いたんだよねー。
ここのチョコレートドリンク美味しいんだぜー。」
歩をどんどん進めながら振り返り、狐狗狸は真っ黒な笑みをこぼした。
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