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しかし、蒼一郎さんは俺の力ない訴えを受け入れてくれなかった。
そのままスルスルと手は上がってくる。
それだけでもゾクゾクと肌が震える。
「…っあ、ひゃあっ!?」
蒼一郎さんの指が頂に達した瞬間、俺はみっともない声をあげてしまった。
慌てて手で自分の口を抑える。
けれどすぐにその手も押さえつけられてしまった。
「ん……声、我慢しないでいいよ。」
少し掠れた、色気の含んだ蒼一郎さんの声が直接耳元に放たれる。
「やっ、やだ、ちょ……っ、変なるっ、からっ!!!!!!」
蒼一郎さんの言動一つ一つが、熱を煽る。
もう声を聞くだけでも、俺は発情していた。
ゆっくりと蒼一郎さんは俺の身体を倒し、覆い被さるような体制をとる。
いつの間にかTシャツは脱がされていて、隠すものが何もなくなった、真っ平らな胸にちゅっと口付けをされた。
「そ、いちろさ……!!!!」
もう自分でも何から逃げているのかよく分からない。
蒼一郎さんの肩を押し、この快楽から逃げようとする。
「真夫くん……いや……??」
ふっと俺の胸元から蒼一郎さんが顔をあげた。
「そっ、そうじゃなくて……こ、声とか、変だしっ……!!」
変な声をあげて、蒼一郎さんに気持ち悪いと思われる。
それだけは避けたい。
けれどこんなに熱を溜めた身体はどこもかしこも敏感で、声を我慢するのは限界がある。
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