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<季題>
初春
<季節>
正月(新・旧暦不問)
をとめ:
乙女、または、処女。字義通り、性的に未通な若い女性(娘)、として好いが、老婆まで敷衍した全般的な「をとめ心」も含意するものとする。
の:
格助詞。属格。ここでは、「なる(に+ある)」の意で与格も、また「たる(と+ある、現代語で「である」)」の意で「眼差し」に掛かる役割も、併せて読解すべし。
眼差し:
まなざし。視線や、転じて目つき即ち目の表情の意。
『目は口ほどにものを言う』を参照。「眼(目・まなこ)」のみで意志・思考・情動を象徴的に表すことから、眼差し即ち目の表情、とするならば、意志・思考・情動の有様や変化を、眼差し即ち視線、とするならば、それらの向かう運動性や方向性を指すものとなる。
なむ・も-ゆる:
係り結び。強調・詠嘆を表し、かつ動詞連体形で結んだ事実上の終止形による中句切れを示す。「なむ」による強調は一般に比較的控えめとされるが、この句では通常の強調と同じく解釈して好い。
文法上係助詞である「なむ」が直前「眼差し」に続く主格格助詞「は・が」または処格格助詞「に(に-おいて)」を代替し、また「も-ゆ」が「燃-ゆ」と「萌-ゆ」の掛詞を成すものとする。ただし、何に燃え、また何が萌えているかは、原則不問。後述も併せ自由に想像せよ。
初春:
はつはる。字義通り、元旦に始まる正月、即ち新たな年の始まる時節を指すものとして好い。
展開し、新たな勝負や新たな門出に望む(臨む・挑む)様等を表す、と解釈することも可能。何れにせよ、また新・旧暦不問で、暦年が改まったばかりの時期を想起されたい。敢えてさらに展開するならば、中句「眼差し」並びに「も-ゆ」の語義を象徴的に限定して、初めての「春」が初めての「恋(性的な事象まで含)」を示唆する、との解釈も可能か。
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