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「サトル、危ねえから」
今にも車道に飛び出そうになっていた幼なじみの腕を、慌てて引っ張る。
いっつもふらふらしやがって。
舌打ちと共に引き寄せると、ほとんど力を入れずとも、サトルの体はグラリと傾き、俺の方へと倒れ込んできた。
「ごめーん、あっ君。あそこにね、見えたんだよ。キラキラしたのが」
UFOかも!
なんて、無邪気に笑うサトルを見下ろす。
俺の腕の中に大人しく収まっているサトルは、驚くほど色が白く、華奢で、頼りなげだった。
掴んでいる腕が、折れそうなほど細いのを感じ、苛立ちにも似た、熱い感情が湧いてきそうになる。
「....うるせえ。馬鹿なこと言ってないで、さっさと歩け」
「あ、待っててば、あっ君!」
サトルの体を軽く突き飛ばして、さっさと歩き始める。
心の中の動揺を知られたくなくて、大股で歩いていると、慌ててサトルは小走りで後を付いてきた。
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