第1章

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幼いころからコイツを知っているが、いっつもヘラヘラしてるくせに、時折こんな風に俺の機嫌を伺って、不安そうな顔をしやがる。 そして、俺は多分、そんなコイツのことが放っておけないんだと思う。 目を離すと、すぐどっか行っちまうような奴だからな... 「...別に怒ってねーよ」 「本当!?良かったあ。あ、このケセランパセラン、あっ君にあげるよ」 「いらねー...」 途端に嬉しそうに破顔するサトルに、思わず苦笑いを浮かべてしまう。 「えっとね、じゃあ、この前見つけた...」 「いらねーから。そんなことより早く行くぞ」 「あ、うん!」 元気よく頷き、俺の後に忠実に付いて来る様は、まるで犬のようで。 「あっ君、あのね、あっ君は、優しいね。大好き!」 馬鹿だし、トロいし、ウザい奴だけど... それでも、今日も俺はコイツを無碍には出来ないのだと、溜め息混じりにそう思ったのだった。
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