Midori

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何処までも白い。 遠くに見える山も、木々も。 「これが白波の」 圧倒される光景に、地図とスケッチブックを持ったまま思わず立ち尽くしてしまった。 リュックに詰めた固形食料には限りがある。 あんまりのんびりとはしていられないんだけど。 「……」 とりあえず現在地を確認。 古い地図だけれど、鈍く光る点が僕の居る場所を教えてくれた。 スケッチブックの隅にあるエリア番号と照らし合わせ、一番近くの絵を探す。 解かれた絵の寿命はほんの数分。 ちゃんと描かれた場所で解かないと、ただ紡がれた想いが消えてしまうだけで。 「あった」 一番近いのは、緑色の草原が描かれたもの。 真っ白な大地を踏みしめて、出発だ。
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