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重くて濃い赤色と、軽やかな淡い赤。
幾重にも折り重なる濃淡が、炎のような躍動感を表現していて。
「さっきまでとは勝手が違うな」
草原や緑色を解くのに少し慣れてきたところだったけれど、色や地形が変われば手順も大きく変わってくる。
慎重に、よく考えて取り掛からないと。
「……うん」
緑色とは違い、薄めの細い赤から解いていく。
細い鉤筆で隅っこの線を絡めて、少しずつ 少しずつ。
「四番……いや、三番」
淡い赤が徐々に少なくなっていくと、濃い線の力強さが全面に表れてきた。
さっきまでの作品としての繊細さは薄れ、濃厚な赤にただただ圧倒されて。
「こんな景色を」
僕が元に戻す。
僕が取り戻すんだ。
太めの筆で一気に作業を進める。
白に近付いていくスケッチブックと、赤く色付いていく景色。
さっきまでは静かだった世界に、少しずつ木々のざわめきが戻ってきたような気がした。
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