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 ――悲しそうな表情。 「ほら、謝りなさいよッ!」  紗智が促しても、内田はちらりと亜希を見ただけで目を逸らす。  ただ、その顔は耳の付け根まで真っ赤だった。 「……み、見てられねぇもんは、見てられねぇよッ! 一般客も来るのに、スカート丈、短過ぎだろッ!!」  その言葉に亜希は、顔を真っ赤にしてスカートの裾を押さえ付ける。  紗智は激怒した。 「最低ぇ~ッ! 智和、そんなところ、見てたのッ!」 「……違ッ、そういう風に見る奴もいるって言ってんのッ!」  そう言いながらも、下着が見えそうで見えないスカート丈に目が行ってしまう。  ――ひらひら揺れるスカート裾。  ――白いレース付きのハイソックス。  ――合間から見える小麦色の素肌。 「やっぱり見てんじゃんッ!」  紗智はそう喚くとボカスカ殴る。  内田は防戦一方だった。 「痛いッ、って!」 「いいから謝んなッ!!」 「何で謝んなきゃなんねーんだよッ!」  ――売り言葉に、買い言葉。  内田と紗智の喧嘩は口喧嘩から一歩進みそうになる。  と、さっと翔の手が伸びて、紗智を止めた。 「何ッ!?」 「紗智、落ち着いて。」 「だって、智和がッ!」 「それ以上やると、折角、亜希ちゃん達が作った智和の衣装がダメになっちゃうよ?」  その言葉に紗智もハッとしたのか手を止める。 「亜希、ごめんッ!!」  そう慌てた様子で謝る紗智に「ううん、気にしないで」と答える。  翔はひとまず紗智が落ち着いたのを見計らってから、にっこりと笑った。 「亜希ちゃん、スカートの丈が気になるなら、何か下に履けば良いんじゃない?」  それを聞いて、亜希もホッとしたような表情に変わる。  紗智は、翔に思い切り抱き付いた。 「――さすが、翔ッ!! 頭、良いッ!!」  そして、「誰かさんとは大違い」と内田を見下ろす。  不服そうに見上げる内田と、再び翔は二人の合間に立ち、これ以上火種が再燃しないように遮る。 「――紗智、そろそろ行こう? 時間に遅れる。」 「時間?」 「この間、見に行きたいって言ってた映画。今日空いてるって言ってたから、チケット取ってあるんだ。」 「そうなのッ?!」  途端に飽きた人形をポイッと捨てるみたいに内田に見向きもしなくなる。
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