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函館、一本木関門。
戦の喧騒を貫くように、
一発の銃声が響き渡った。
胸に焼けるような激しい痛みを感じたかと思うと、男は、馬上から転げ落ち、地面に叩きつけられた。
胸にあてた手を見ると、真っ赤に染まっていた。
ああ、俺は撃たれたのか。
男はやけに冷静だった。
胸からどくどくと流れる液体が、地面を赤黒く染めていくのがわかった。
真っ青な顔をした部下たちが、自分を見下ろしている。
必死に名前を読んでいるのが聞こえる。
何やってんだ、戦の最中だぞ。
俺に構ってる隙があったら、前進しろ。
そう怒鳴ったつもりだったのだが、声にならず、虚しく息が漏れるだけだった。
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