三回目の春

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ぼうっとしているうちに、僕もそろそろ大学3年生になる。 それなりに勉強をして それなりにサークルをやってみて それなりにアルバイトをしてみて それなりに一人暮らしもして 本当に「それなり」な、ごくごく普通の大学生活を送っている。 ピンポーン 部屋のチャイム音が鳴った。 ピンポンピンポンピンポン ……この鳴らし方は、たぶん彼だろう。 「はいどちら様で」 「ヒロ!飯食いに行こう!」 やはり彼であった。 このアパートの隣人であり、同じ学部の同級生である、泉崎晴一。 「ハル……何飯を食べに行くんだよ?今何時だよ?」 「えーと……あ、時計、部屋に置いてきちゃった」 「今は15時10分ですよ」 「あ!そうなの!どうもどうも」 「どうもどうも、って。どちらかと言うと今はおやつの時間じゃない?」 「俺さっき起きたんだよー!とりあえず何か食いたい」 「それ俺付き合う必要ある?」 「ある」 …… 彼の目力に、負けた。
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