アイロン

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「・・・三太さん?」 でも、次に「あ、もうこんな時間。夜更かしは美容の大敵だってこの前ラジオで言ってたぞ」と言った三太さんはやっぱりいつもの三太さんだった。 「早くお風呂入ってきな」 「三太さんはもう入ったの?」 「まだ。でも、俺は花のあとでいいよ」 「でもそんなことしたら三太さんの寝る時間なくなっちゃうよ」 「俺は時間のやりくりが上手な主夫だから昼寝とか昼寝とか昼寝でなんとかなるもんなんだよ。それに、花のお気に入りのワンピースのボタンが取れかかってるから今直しておきたいしね」 三太さんは目の前にある黄色のワンピースを手に取り、取れかけたボタンを見せてくれた。 「ホントだ。いつの間に?」 「だから、ゆっくりつかっておいで」 三太さんは、今度は優しい手つきであたしの頭を撫でてくれた。 「あったまったら、またぐっすり眠れるから」 三太さんの声があんまりやわらかくて、何故だか泣きそうになった。 「うん。じゃあ、お先にいただきます」 「はい、どうぞ。ごゆっくり」 三太さんがアイロンのうずまきボタンを押すと、コードがしゅるしゅるしゅるーっと吸い込まれ、きれいにしまわれた。
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